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いろいろな日本人形


伝統的工芸品指定品目


江戸木目込人形(第9次指定)
なだらかな曲面と描き目がつくる優しい存在感

 江戸木目込人形は、「桐塑(とうそ)」で作った胴体に、裂地(きれじ)を貼り付けて、衣裳を着ているように見せる人形です。桐塑は桐のおがくずを生麩糊(しょうふのり)で固めたもので、桐塑の胴体に彫った溝に、裂地の端を埋め込んで胴体と裂地を密着させます。袖や裾など衣裳のふくらみも桐塑で形を作るため、独特の重厚感があります。溝に裂地を埋め込む技法を「木目込(きめこみ)」といい、江戸木目込人形のなだらかな曲面はこうした技法によって作り出されます。
 頭(かしら)や手先などは、衣裳人形のように別に作り、後から差し込みます。衣裳人形の目は、主としてガラスなどで作りますが、江戸木目込人形の目は、一般に筆で描いた「描き目」で表現します。この目の持つ表情が、ぽってりとした全体のボリューム感とともに木目込人形ならではの味わいになっています。

 江戸木目込人形のルーツは、京都の『加茂人形』にあります。『加茂人形』は、京都上賀茂神社の雑掌(ざっしょう)(雑用をする人)が、神事に使う柳の木の箱の余った木片に刻み目をつけ、それに布を木目込んで作った人形でした。京都の人形師によって商品化され、のちに江戸に伝わり、幕末頃には江戸でも盛んに作られるようになりました。その作り方にちなんで江戸木目込人形と呼ばれ、人々に愛され現在に至っています。


京人形(第21次指定)
分業が磨いた人形づくりの技

 京人形は、大勢の職人によりたくさんの工程を経て製作されます。頭(かしら)、髪付、手足、小道具、着付など、各工程は分業化され、それぞれが専門の職業として成り立っています。分業によって専門化されたことで、ひとつひとつの技術や感性が研ぎ澄まされ、他所では真似できない高度な技術や美意識を産み出しました。京人形ならではの美しさと味わいは、こうした伝統の手仕事の積み重ねによって作り出されているのです。

 現在、京人形には、『御所人形』、『衣裳人形』、『市松人形』、甲冑類などいろいろな種類があります。これらのルーツには、江戸時代の初期から作り始められた雛人形が挙げられることでしょう。この他、江戸時代には嵯峨人形(さがにんぎょう)や加茂人形などといったさまざまな人形が作られていました。


駿河雛人形(第28次指定)
煉天神と衣装着

 駿河雛人形のルーツである天神人形には、大別して「煉天神(ねりてんじん)」と呼ばれるものと「衣裳着(いしょうぎ)」と呼ばれるものがあります。
 「衣裳着(いしょうぎ)」の雛人形は全国各地で作られ、それぞれ様々なルーツを持ちます。駿河の衣裳着雛人形は、現在も駿河天神人形として作り続けられている煉天神をルーツとしています。

 煉天神は、駿河地方に独特な天神信仰から生れた人形です。古くから雛の節句に飾られ、その風習は今も続いています。煉天神は、人形全体が桐塑(とうそ=桐の粉と生麩糊(しょうふのり)を混ぜた粘土状のもの)で作られ、顔だけでなく、衣裳までもが筆で描かれています。江戸時代の末期には、この煉天神から衣裳を布で作り着付けた衣裳着天神が生れました。この衣裳着天神が衣裳着の駿河雛人形へ発展していきました。


駿河雛具(第28次指定)
優秀な職人たちの技を集めた小さな形

 針箱、茶道具、箪笥・長持・挟箱(はさみばこ)など、江戸時代の武家の豪華な嫁入り道具を模したものが雛道具です。雛道具は雛具とも呼ばれ、ひとつひとつが小さいながら実物と同じ様に作られています。外見はもちろん、扉や引き出しなども実物同様に開閉することができます。巧みな細工は、江戸時代に駿河に集められたという、優秀な職人たちから受け継がれた伝統の技術に支えられています。

 江戸時代、駿河一帯は、徳川家康のお膝元として、家康の居城や久能山東照宮(くのうさんとうしょうぐう)や浅間神社(せんげんじんじゃ)が作られました。その際、全国から木地指物(きじさしもの)、挽物(ひきもの)、漆器、蒔絵などの優秀な職人が集められました。建物ができた後も、職人たちの中には駿河の地に残る者が現れ、その優れた技術を広めていきました。中でも漆器製作は、温暖多湿な駿河の気候が適していたこともあり、この地の産業として定着しました。駿河雛具はこの漆器製作の技術を活かして始められ、現在に至っています。