伝統ある日本人形文化の
振興と継承のために

雛人形の五人囃子

五人囃子

三段目に並べる五人囃子は能の地謡と囃子方を表した五体一組の雛飾り用の人形にことをいいます。1831(天保2)年刊行の『宝暦現来集』によれば天明年間(1781~1789)頃、江戸で創作されたそうです。
実際の舞台では地謡・囃子方を成人男性が務めるため、それを模ったものもありますが、愛らしい童子仕立てが圧倒的に多く、まれに美人仕立としたものもあります。
衣装は裃姿のものと素襖(すおう)姿のものとがあり、五人を揃いの衣装とすることもあれば、あえて色違い、文様違いとすることもあります。15人揃いの雛飾りでは中央に位置するため、主役の内裏雛に次いで上質の衣装とするのが業界の通例でした。
関東では地謡に口開き、太鼓に口閉じの頭を使用するが、京都では逆とし、表現が異なります。
業界用語では「林」または「素襖」と言います。なお宮廷の様子を表現した雛飾りに、武家の式楽である能はそぐわないとして、雅楽の楽人を配することもあり、これは人数によって五人楽人、七人楽人などと称されます。

日本人形協会発行「にんぎょう日本」2023年3月号「素朴なギモンvol.80」を一部編集して掲載

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